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@ りら
2024-01-02 11:30:14
のす!小牧りらと申します。鉄道と擬人化コンテンツをこよなく愛す、どこにでも居る一般オタクです。
この記事では、ひょんなことからNostrに迷い込んだ一般オタクが、沢山のNostrich(Nostrユーザーのこと)と交流して新しいことに挑戦する物語を綴っていきます。
「Nostr」とは、Notes and Other Stuff Transmitted by Relaysの頭字語であり、イベントオブジェクトに基づく通信プロトコルのことです。また、Nostrプロトコルを用いたSNSのことを「The Nostr」、あるいは単に「Nostr」と呼称します。
以降、本記事では断りのない限り単に「Nostr」と記載する場合はSNSのことを指します。
オフ会参加の始まりは技術書典14 (5月)
女性向け大型即売会と、単一作品のオンリーイベント(つまり、二次元を主体とした創作界隈)しか参加したことのなかった自分にとって、「技術」に焦点を当てた即売会の存在自体が驚きでした。即売会らしく個人サークルの手作り感ある作品から、チームで制作されている装丁のしっかりした本、更にはIT企業のエンジニアチームで制作した本などもあり、技術者の世界の深み、そしてそのオープンソース具合に感心しました(利益が殆ど出ない設定の同人誌は副業に当たらないとの観点から、有料頒布ではありますがオープンソースと表現しています)。
5月21日に開催された技術書典14では「Hello Nostr! 先住民が教えるNostrの歩き方」 、通称「のす本」が販売されることとなりました。東京は池袋での開催でありながら比較的遠方からのNostrichも多く、さながらオフ会の様相でした。Nostrに一定規模の日本人が定着したとされるのは、AppStoreにDamus(クライアントアプリ)が公開された2月以降であり、そこから約3ヶ月で同人誌ができあがったことや、オンラインで購入できるにも関わらず全国からユーザーが集まったことは、この期間の熱量が桁外れに高かったことを感じさせます。
「夢のスパジャポ、フゥ〜♪」
その掛け声と共にNostrich達は立ち上がった(4人です)。東久留米市の端の端、そこに楽園はありました。電源、Wi-Fi完備、漫画雑誌も豊富でご飯も美味しい夢の温浴施設、スパジアムジャポンにて突如オフ会は開かれました。
先述の「のす本」に記載されている、Nostr上でbotを作る演習課題があり、のす本を購入したNostrich達がこぞって演習を進めていたのが6月のNostr。プログラミングは小中学生の頃ホームページを作るためにコピペしていたhtmlだけという超超初学者の私には、どこに何を書けばいいのかすらも分からない状態でした(実際問題、このレベルの超超初学者はターゲットとは言い難いです)。スパジャポオフ会ではターミナルの使い方も分からない私にフォロワーが手取り足取り説明してプログラミングの扉を開いたり、フォロワーが別SNSでのフォロワーを連れてきてNostrichにしたりと、温かい世界が広がっていました。
りら、参禅す(9月)
とあるフォロワーの紹介で、かねてより興味のあった坐禅をすることになりました。それまでもオンライン坐禅会や瞑想会など、オンラインイベントを通じてマインドフルネス的な何かを試みたことはあったのですが、禅堂で坐禅をし、お坊さんに喝を入れて貰う(自己申告制であり、急にしばかれることはありません。坊主も人間なので他人の心の内までは読めません、多分)ことは初めてでした。自宅やオフィスの休憩室では中々集中できなかった私にとって、「禅堂」という日常とは独立した世界に身を置くことが一つのコツなのかなと実感することができました。銭湯巡りが趣味なので、服もスマホも取り払った銭湯という空間で頭が冴えるのと似ているかもしれません。
グランピング(9月)
大学時代からやってみたいね〜と口先だけで言っていたグランピング(貧乏人なので高そうに感じた&車の運転に不安)、Nostrで行きたいと言い続けていたら実現してしまいました。日程を決めて人数を揃えれば後はなんとかなるもので、レンタカーを借りてキャンプ場に向かえばもうグランピングの始まり。Nordiskのテントや立派なバーベキュー台、燻製器(チップまで用意されている)が私達を待っていました。近くのスーパーで買い出しを済ませれば準備は万端。野菜を、肉を、酒を、マシュマロを(ここ地味に重要)、焼いて、飲んで、食べて、喋って。真面目にNostrプロトコルやコミュニティの将来について考える場面もあれば、全く関係ないくだらない話で盛り上がったり、ボードゲームに興じたり(ペンギンのボドゲ面白かったです)と楽しい時間を過ごせました。関西育ちなので、関東育ちの家庭ではこんな風に土日で房総半島の自然に触れたり鴨川シーワールドで海の生き物を見たりするのかなー、と思いを馳せていました(実際、そうでもないようです)。
登山オフ会(10月)
奈良の若草山や東京の高尾山程度のライトな登山しかしたことがなかった私。登山に詳しいフォロワーの手引きで「高尾山の次に登るべき山」三頭山 へ登頂しました。日本はその国土の3/4が山地である故、どの山を登ればいいのか初心者にはさっぱり分かりません。そんな中、登山に詳しいフォロワーに連れられるまま都民の森・三頭山へ行くことになりました。都民の森と言うだけ会って整備された登山道となってはいましたが、高尾山のように広く優しい道はぐっと少なく、分岐点もあるため経験者がいて本当に良かったなと安心しました。山頂近くの小屋ではいくつかの鳥の声も聞こえ、非常にゆったりとした時間を楽しめました(しかし老人登山の会や犬連れの登山者等、道中では沢山の人や犬にすれ違い、すごい人達だなと思い知らされました…)。
多くのNostrichが一つの「到達点」としていたであろうNostrasia。これは今年3月にコスタリカで開催された「Nostrica 」に続くNostrプロトコルのカンファレンスとして、その直後に日本での開催が公表されたものでした。開催は半年以上先の11月。果たして11月までNostrを続けているだろうか?という当初の懸念などどこ吹く風、全国から日本のNostrichが集まりました。
海外からは1週間ほど早めに来日する方もおり、ハロウィン前の賑々した渋谷や新宿を舞台に、予行演習とばかりに海外Nostrich達との会食で英語力を鍛えたり鍛えなかったりしました。Nostrasiaの3日間は、今までの人生で最も英語を浴びた期間になりました。幸いにもメインスケジュールとなる開発者やユーザーの発表にはAI同時通訳が用意されており、生の発話、AI通訳に出てくる英語の書き起こしと日本語逐語訳を駆使することで、英語での発表も大意をつかむことができました。また全世界のNostrichとの会話も、DeepLの力を借りて殆ど問題なく意思疎通ができました。
アーカイブも残されていますので、気になる方はぜひYoutube をご覧ください。
技術書典、再び(11月)
これはもうみんなすごいねんとしか言いようがないのですが、11月12日の技術書典15 にて再び同人誌が頒布されました(年2回開催をコンスタントに続けられる技術書典運営、参加サークル各位に拍手)。今回は「Hello Nostr! Yo Bluesky! 分散SNSの最前線」 というタイトルで、ポストTwitter筆頭?のBlueskyとの合同誌となりました。日本のNostrコミュニティとBlueskyコミュニティは重なり合う部分もあり、両方のユーザーである人も多いです(一説によると日本の2者のコミュニティは海外に比べても仲がいいとかなんとか)。今回縁あって販売側となったので会社で培った営業力を活かして()技術書典を眺めていました。やはり知名度ではBlueskyに劣るNostrですが、開発者目線でのシンプルさ、開発のしやすさはアピールポイントとしてしっかり訴求できたかなと思います。売り子の話はまたどこかで単独の記録として残して置きます。
Lightningフリマ(11月)
NostrにはZap という機能があり、ビットコインのLightning Networkを活用した投げ銭機能があります。フォロワー同士Zapし合って貯めた、たくさんのsats(そんなには持っていない)。日本のNostrコミュニティにおいてはビットコイナー(ビットコインを使う人)が割合として少なく、仮想通貨と言うよりも最早アプリ内通貨の感覚で投げ銭をしていました(2023/12/4時点の1satsは0.05815円であり、正に投げ「銭」です)。1桁satsの投げ合いも多く、その安さと決済速度の速さは非現実的ですらありました。
このフリマはNostrとは直接の関係はありませんが、フリマ運営や出店者のフォロワーもおり、それをきっかけにNostrasiaで海外Nostrichから貰ったsatsを、フォロワーとの投げ合いで日々蓄えたsatsを使おうと、自然発生的にNostrichが集まりました。普段使い慣れているWallet of SatoshiのQRコードを使い、あっという間に決済が完了。現実世界で「satoshiを使って代金を支払う」経験を、フリーマーケットを通じて体感することができました。
おわりに
以上、Nostrを通じて得た様々な経験でした。Nostrには様々な理由で様々なユーザーが存在しており、「リア友」や「◯◯クラスタ」といった共通項を持つ者との繋がりが主体であった私のSNS生活に風穴を開けてくれました。また、体感では自ら開発を行う意欲的なユーザーが多かったり、Nostrプロトコルやクライアントを擬人化することでコミュニティを盛り上げる人がいたりと、その前向きで向上心溢れる雰囲気も刺激になっています。
正直「おめーオフ会オフ会ばっかうるせーよ!」と思われてないか日々気にしたり気にしなかったりしていますが、おもしろいことが起こる場所なら全国どこへでも、勿論海外だって馳せ参じる所存です。むしろ来年の目標は「職に就いて台湾オフ会開催資金を貯める」くらいの前のめりな気持ちで生きています。
それではみなさん良い年の瀬を、そして良いNostrライフを!